子供の成長に合わせて変化する家
築10年の木造住宅のリフォーム計画です。
新築当初、「家族をそばに感じられる家」というコンセプトのもと、大きな吹抜が家全体をつなぎ、家族がどこにいても存在感を感じられることを大切にしたお家でした。
依頼人のご夫婦は娘さんお一人の3人の家族構成でしたが、やがて下の男の子が生まれ、2人とも小学生に上がり大きくなられた頃に、「子どもの成長に合わせ、それぞれの子ども部屋をつくりたい」とリフォームのご依頼を頂きました。
ベッドを2つ並べてお母さんと姉弟の3人で寝ていた2階11畳のスペースには、中央に間仕切り壁を立て、お姉さんの部屋をつくりました。また、リビング吹抜の一部に床を張り、渡り廊下と弟さんの部屋を新しく増築しました。
リフォームしたことを感じさせない
リフォーム前の内装は、無垢フローリングの床、目透かしのシナベニヤの壁、登り梁に構造用合板を表しとした天井でデザインが統一され、木の素朴な雰囲気が心地よい空間でした。このデザインを受け継ぎ、リフォームした部分もまるで最初からそこにあったかと感じるくらい、既存部分に馴染むような設計を目指しました。
木材の材種やサイズの他、建具枠や見切り縁、床板の小口の見せ方など細部にも配慮した設計になっています。
構造安全性をたしかめる
新しく吹き抜けに床を張ることで建物への力のかかり方が変わるため、構造の検討は慎重に行わなければなりません。
竣工時の2012年当時に行っていた許容応力度計算を引き継ぎ、改修後も引き続き構造の安全性を確認しています。
改修に直接関係しない壁でも補強が必要となることがあれば、お施主様に説明を行いながら計画を進めました。
生まれ変わった空間を楽しむ
40日間の工事の後、完成した新しい部屋をご覧になったお施主様から、「また新築に戻ったようです」とのお言葉を頂きました。
これまで慣れ親しんだ家が新しい形に生まれ変わることで、新築とはまた違った喜びがあるようです。
改修前から決めていた新しいベッドが早速置かれ、お子様たちも自分だけの空間を楽しんでいました。