光と家族が立体交差する家
| 計画地 | 浜松市中央区 |
|---|---|
| 用途 | 戸建住宅 |
| 延床面積 | 106.80㎡(32.24坪) |
| 規模・構造 | 木造二階建て |
| その他 | [性能等級] ・長期優良住宅 ・耐震等級3 ・断熱等級6 [断熱気密] ・UA値0.39 ・C値0.21㎠/㎡(完成検査時) |
家族団欒の時間も、個々の時間も、どちらも豊かに育む住まい
浜松市へのUターンを機に、ご夫婦とお子様(未就学児)の3人家族のために新築された住まい。
「ほどよく木を見せた北欧風のデザインにしたい」という奥様のご要望と、「耐震性や断熱性を高く、家族団欒と趣味の時間を両立させたい」という旦那様の想いを掛け合わせ、唯一無二の空間が完成しました。

光と視線が交差する吹抜け空間
家族が自然と集うリビングダイニングと、共同作業もできる2階ワークスペースは、勾配天井の大きな吹抜で心地よく繋がります。キッチンを1階の中心に据えることで、リビング全体を見渡しながら料理ができる開放的な空間が生まれました。

玄関に飾られたお気に入りのペンダントライトは、帰宅する家族を優しく迎え、外からもこぼれる光が住まいのアクセントとなっています。

多様性に応えるフレキシブルな間取り
キッチン横の家事室は、単なる収納スペースに留まらず、お子様の遊び場、来客時のゲストルーム、そして将来的な親御様やご夫婦の寝室としても活用できるフレキシブルな設計です。キッチン・リビングと一体となった回遊性のある動線は、自然と家族が家事を分担するきっかけを生み出します。

2階には、見晴らしの良い東側に旦那様のための書斎兼ライブラリーを配置。吹き抜けを挟んで寝室と子供部屋を配置することで、適度なプライバシーを確保しつつ、家族のつながりも感じられるよう配慮しました。


高い耐震性・断熱性を追求した安心の住まい
構造は1階、2階ともに3×4のグリッドで構成し、柱直下率・壁直下率の高い、シンプルかつ上質な耐震等級3を実現。登り梁を採用することで、空間を広く見せながらも水平剛性をしっかりと確保しています。
※3×4のグリッド…構造上重要な柱や壁のスパンを2730mm×3640mmとした平面計画。1スパンは910mm。梁が大きくなりすぎず、バランスの取れたグリッド。
断熱材には、調湿性・防虫性に優れたセルロースファイバーを屋根や外壁に採用し、断熱等級6を達成しました。JR東海道本線や幹線道路が近い立地を考慮し、優れた防音性も期待できます。特に日射熱負荷の高い屋根面には厚く吹き込み、夏の厳しい暑さを和らげます。
気密性能はC値=0.21を実現。熟練の職人による丁寧なテープ張りで高気密化を図り、年数が経過しても性能が落ちにくいよう手間を惜しまず施工しています。軒や庇による夏場の日射遮蔽効果もシミュレーションで確認し、四季を通じて快適な室内環境を追求しました。

デザインの特徴
温かみのある北欧ナチュラルスタイル
白を基調としたシンプルな空間に、化粧梁や家具など、木の表情の魅せ方にこだわりました。フローリングにはオーク材、ドアにはシナ材、窓枠にはスギ材を使用し、素材の統一感を演出。要所にはチーク材をアクセントとして取り入れ、温かみのある北欧ナチュラルスタイルを追求しました。

トイレや寝室奥のクローゼットには、奥様のこだわりと遊び心が詰まった壁紙をワンポイントとして採用。内部の建具は必要最小限とし、引き戸を多用することで、光が隅々まで届き、風が心地よく抜ける開放的な室内空間を実現しました。


周辺環境と調和する穏やかな佇まい
東側をメインファサードとし、2階建て部分の手前に配置した1階の下屋は、ポーチまで含めて長く伸びることで、建物全体に落ち着いた安定感を与えています。ポーチの仕上げにはジョリパッド(塗り壁材)と杉の羽目板を使用し、温かみをプラス。メインの外壁材であるエスジーエル鋼板のシンプルさと対比させています。
中庭側にも開口部を設けることで、玄関へのアプローチの際にポーチ越しに中庭の広がりを感じられるよう工夫しました。

設計者メッセージ
完成後、お施主様ご家族が吹抜けを見上げてデザインを気に入ってくださり、喜んでくださったことが、設計者として何よりも印象に残っています。設計段階から、何か工夫を凝らしたいというご要望に応えるべく、何種類ものデザインパターンを検討してきました。この先何十年も、この家が家族に永く愛され続ける形を実現できたこと、設計者として大変嬉しく思います。

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