寸座駅(天竜浜名湖鉄道)
奥浜名湖を望む、夢想い峠に建つ小さな駅舎
天竜浜名湖鉄道の寸座駅は、奥浜名湖の雄大な景色を一望できる唯一無二のロケーションが魅力です。私たちはこの既存駅舎の持つ「奥浜名湖を眺めながら電車を待つ」というかけがえのない体験を継承しつつ、地域活性化の核となる新しいランドマークとしての価値を付加することを目指しました。

本プロジェクトは、天竜浜名湖鉄道寸座駅のネーミングライツを取得された株式会社ソフテック様(浜松市中央区)が、地域貢献の一環として駅舎の建て替えをご計画されたことから始まりました。
「小さな駅ではあるが、フォトスポットになるような場所にしたい」というご要望に応えるべく、南ヨーロッパ風の意匠を取り入れたデザインを採用しました。

敷地は姫街道沿いに位置し、奥浜名湖の湾岸を美しく見下ろせる絶好の舞台です。この恵まれた立地を最大限に活かし、駅舎からの眺望を存分に堪能できるよう計画しました。

外観は、白を基調とした漆喰調の外壁に、テラコッタカラーの切妻屋根を合わせ、温かみのあるテラコッタカラーの切妻屋根を組み合わせ、南欧の佇まいを創出しています。四隅にあしらわれた石積調タイルがアクセントとなり、国道からも湖からも一際目を引くシンボリックな存在です。


内部空間は、木造在来構造による登り梁や木の窓枠を見せることで、居心地良く親しみやすい雰囲気を創出しました。平面的なサイズや出入口の向きは既存駅舎に倣いつつ、開口部を両妻側にも設けることで、湖や上下線の電車アプローチをより見やすく、開放的な空間を実現しています。掲示スペースを確保しながらも、三角形のハイサイドライトから自然光がたっぷりと差し込み、室内を明るく照らします。

この新しい寸座駅駅舎が、奥浜名湖の美しい風景に溶け込み、地域の方々や観光客にとって「立ち寄りたい場所」として親しまれることを願っています。また、駅舎の中で奥浜名湖を眺めながら電車を待つひとときが、訪れる方々にとって心に残る豊かな時間となることを心から願っています。


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