家族の健康を守り続ける「無理のない、無駄のない」家づくり

【富士市K様邸】

現在午後10時半前。妻と子供達は真っ暗で静かな暖かい寝室で寝ています。
隣の部屋でこの原稿を打ち始めたとき、家の中に響くのは小さな時計の秒針がカチコチと動く音だけ。
この部屋も寝室と同じように暖かく、そしてその暖かさは家全体にゆっくりと広がっています。

「我が家の計画」

家を建てるにあたり、色々な住宅展示場や見学会を家族と一緒に回りました。「家づくりとはこういうものだ」ということを、実際に目で見て学ぼうと思ったのです。
家を見るたびに、知ることは増えました。同時にわからないことも増えてしまいました。
自分たちにとっての「これがいい」は、実際に見学した家の中には無かったのです。

1年を見学会巡りに費やし、その中で「建築会社でなく、設計事務所に家を依頼する」という方法を知りました。
そうやって視野を広げた時に見つけたのが、住環境研究所さんでした。
最初にホームページの写真をみた時に「良さそう」という感触だけをたよりに、少し遠い家族旅行のつもりで訪問をしました。
そこで社長のご自宅を拝見し「こんな家がいい」と夫婦で感想が一致。
その驚きをきっかけに話を更に聞き、「ここにお願いしよう」ということになりました。

「我が家の設計」

設計士さんからはいくつかの大事なヒントをいただきました。
例えば
「一生快適に使える家にすること」
「年をとって足腰が弱くなっても対応できる、あるいは病気や怪我をしたときにも対応できる間取りや設計にすること」
「実際の生活シーンを想像して、設計をすること」

家の出入口を南側でと希望した際に、北側にした案で返ってきたことがありました。
理由を聞くと「北側から帰宅するので、家の明かりや玄関を見ながら帰宅した方が、幸せに感じると思ったので」とのことでした。
これらをヒントに考えることで、一時的でない「家族の一生を見据えた家づくり」に向き合うことができました。

玄関と直結したリビング

「我が家の結論」

家に対する夢や理想、アイディアに限りはありません。いろんな設計を試し整えていく中で、取捨選択と整理整頓が形になっていきました。
家づくりにおいて、私たちが大事にしたいのは「無理のない、無駄のない」間取りにすることでした。

部屋数をむやみにとらず、収納も多く作りすぎない。
「子供が成人し巣立ち、自分たちが年老いていく中で、無理のない家。自分たちで賄いきれる広さの家」を。
そして、「その家の中で、楽しく暮らせるようにすること」を目指しました。

衣類庫に大容量の棚に家族全員分の衣類をまとめて収納

「我が家の方向転換」

設計がある程度決まり、方向性が見えてきたところで設計士さんから提案がありました。
「今後の住まいの快適さを考えると、通気だけでは賄いきれない部分があると思います。高気密高断熱の性能仕様で考えてはどうか。」
最初は「高気密高断熱」という聞き慣れない言葉が何であるのかわかりませんでした。

すぐにネットで調べました。住まいの仕組みを理解するために色々と考え方を新たに用意し、疑問点があれば考えました。
最終的に「高気密高断熱は自分たちの作りたい家づくりの延長、さらにその先にあるものだ」と理解し、その方向で家を建築していくことになりました。

高性能な住宅に欠かせないトリプルガラスの樹脂製サッシ

「我が家の家づくりルール」

設計をするにあたり大事にしたのは「設計士さんと密にやり取りすること」
我が家の理想は誰よりも設計士さんにお話しました。
設計士さんと話すためには、家族の意見がまとまっている必要があります。
そのために、家族とは設計士さんと話す以上に話をしました。

家族とは面と向かって話をする以外にも、LINEで気になったことを共有したり、参考になるサイトをお互いに教えあったりしました。
図面の上に赤線を引いたりしたものをお互いに共有し、形になったら設計士さんに展開してさらに煮詰めてもらいました。
建築を仕事にしている友人にもいましたが、あえて相談はしませんでした。
設計士さんとのパートナーシップをきちんと構築し、純度をあげること。私たちを深く理解していただくこと。
それが最終的に良い設計につながる、と思ったからです。そして実際にそうなりました。

「我が家の完成」

約6ヶ月の工期を経て12月に我が家が完成しました。
家を建てようと思ってから2年以上が経過していました。
夜に時間を作って、子供たちと完成したばかりのカーテンもまだ無い家に入ります。
アパートとは全く違った、高くて広くて何もない空間に、子供たちはハシャギまわります。
二人の子供のうち一人は、設計当初はお腹の中にいました。
家づくりの時間を経て、その子供が無邪気にあちこちを走り回っていました。

建物が建ち、子供たちが揃い。
我が家が完成しました。

床はすべて無垢の杉板を使用

「我が家にできた快適」

①暖かさの快適

湯冷めをすることがなくなりました。冬の朝に心臓が震えるような寒さがなくなりました。結露もありません。
まだ保育園の小さな二人の子供たちも、冬場も朝から肌着一枚で、元気に家の中を遊びまわります。
お風呂のときに場所を問わずどこでも元気に服を脱ぎ出せるので、今後のしつけの課題が思わず一つ増えました。

一年を通して、エアコンなしの状態で16℃から23℃あたりで過ごすことができます。
1台のエアコンをつければ、20℃前後で1年を通じて過ごすことができ、経済的にも助かっています。
暖かい空気は上に行くので、その分は1階と2階では多少の温度差はありますが、家のどこでもほぼ同じ温度・湿度で快適です。

「家の温度が一定だと季節を感じにくいのではないか」という懸念がありましたが、全く逆でした。
家の温度が常に一定だからこそ、外の暑さ寒さの小さな違いを毎日感じ取ることができます。
ドアをあけるまで外の温度が本当にわからないので、ドアを開けて「今日はこんなに寒いのか(暑いのか)」と驚いたりしています。

冬だけでなく、夏も快適です。
夏が熱くなりすぎることはありません。夏場に数日留守にしても、帰ってきてドアをあけたときに「むわっ」とする空気を感じることはありません。
これは冬場も同様です。夜の冷え込みで家全体が冷え込むことがないので、夜起きて冷え込むこともありません。

夏場はどうしても私たちが体温で発熱しているため、その空気を扇風機などで少し動かしてあげると快適になります。
エアコンを1台20℃前後の設定にしておけば、夏場でも寒すぎない室内を実現しています。

二階子供室:家全体の空気を循環させるため、足元に通気窓を設置

②空気の快適

花粉は家の中ではほぼ感じません。やはり外から帰って来れば、多少の花粉でくしゃみがでますが最初だけです。
外から持ち帰った花粉以上を家の中で感じることはないので、その点も助かっています。
朝起きていきなり鼻がムズムズする、ということもないです。

③音の快適

とにかく静かで快適です。静かさの快適の効果は意外に多くあります。
まずは何と言っても熟睡できるようになりました。余計な物音で起きることが減ったので、睡眠の質が上がりました。
子供たちも他の音に気が取られることなく、もくもくと遊びやすくなりました。
物音はとにかく聞こえないのですが、消防車の音など大事な音はしっかり聞こえてくるので助かっています。
車で帰宅した音も、よっぽど注意してはじめてわかるくらいの静寂なので「暮らす音」がしっかりと家の中に響き渡ります。

④狭さの快適

狭さの快適…というのは若干の見栄があるかもしれません。
幼児だった子供たちがだんだんと少年を経て、大人になるにつれ、家は狭くなっていきます。

今の家族の形だけを見るのではなく、「将来子供が巣立ったあと、私たちが年を取った時でも、行き届く程度の広さ」を目指しました。
年を取ってあちこち行き届かない部屋や場所ができるだけ出ないように、部屋数を減らし、その分一部屋の大きさを確保できるようにしました。

今後しばらくは「もうちょっと家を大きくしていたら」と思うこともあるかもしれません。
ですが、それは言い換えれば「子供が無事に成長している」という証。
今後家がどんどん狭くなることで、家族としての成長や充実を色々と感じることができると思うと、楽しみでもあります。

そして、無事に子供たちが巣立った後に、広すぎない家を十分に楽しめるように健康に気をつけて暮らしていければと思います。
体への不要な負担を減らして、自分たちの健康をケアしていく。
そのためには「この家がもたらしてくれる快適さ」を家族一同、とてもありがたかく感じています。

掃除のしやすさなど奥様のこだわりが詰まってたオールステンレンスのフレームキッチン
キッチンと色違いのタイルで仕上げた洗面。深くシンプルな流しは使い勝手が良いものを。