「旅するように暮らしたい!」夢を現実にした家づくり

【磐田市S様邸】

「旅に住まう基地」

アクティブに出掛ける事が大好きな私達にとって、たとえ子持ちになっても、自分達のペースで無理なく旅に出る夢を描いた時、”旅先に家を携帯する”キャンピングトレーラーという道具の存在はとても魅力ある発見でした。
これは幌馬車がルーツで、ポピュラーな国ではその名の通り”キャラバン”と言うようです。

自分達のペースで家ごと移動し「旅先に住まう」そして、時には海辺の引き波に沈みゆく夕日を、時には朝日に照らされる雲海を山麓から家族と時間を共有する。
夢(妄想)をぜひ現実に!と考え始めました。

時を同じくして、新しい家族の増え始めた我が家では、子供達の自由と引き換えに、社宅アパートにかまえていた住居が急に狭くなってきた為、いよいよ俗に言う「人生最大のお買物」の必要性にも迫られる時を迎えました。

”旅する家”とはいうものの、、、手狭なアパートを下回るキャンピングトレーラーでは年間通しての生活実現するにはさすがに無理がある、住居としての程よい空間も必要、と・・・妄想するキャンピングトレーラーの夢はやがて家の夢と一体化し、まるで船の寄港する基地のように、敷地レイアウトまで妄想を描く様になります。

押し付けのデザインや使わない機能性は不要。枠にとらわれるよりも、完全自由設計でピッタリとトレーラーが収まり、私達の人生観にフィットする。それこそが完璧な家・・・。

「全ての造りに意味を問う」

キャンピングトレーラーとセットとなる家

まず、トレーラーと通る牽引軌跡を設計士さんと広場で検証し、家の西側を10度南に傾斜させ軌跡を逃す事で基本の形が決まりました。(これより、冬の北西風からの風除け機能をこの曲げにかねさせました。)
旅に気軽に出掛けれるよう玄関と冷蔵庫(キッチン)とキャンピングトレーラーの入り口を近づけました。(結果、トレーラーの出入りが近く一室として機能する距離になりました。)

既設の空気を感じれる、外居間

南側屋根を伸ばし夏の日差しを遮り、建物に入り込むことで冬の強い北西風を避ける事が既設を通して長い時間外でくつろげる”外居間”を設けました。子供達が小さい頃は、南面の明るい庭で走り回り、外でピクニック気分で食事。
そして子供達が巣立てば、自然が織りなす既設の彩りを夫婦で鑑賞に浸る空間になるはずです。

家の中心のキッチン台

食に家族が関われる様、大き目のアイランドキッチンを家の中央に備えました。
隅々に散らばる子供達の側からいつでも”親の気を感じる”ことが出来るよう、二階の隅からも空間が繋がるレイアウトにしました。

悩んだ箇所は”挙げると数え切れない”・・・と言うよりも下地の位置からドアノブひとつに至るまであらゆる仕様に自分で納得の意味が込められています。
意見がまどまらず、時に深夜に及ぶ様な打ち合わせにも設計士さんは本当に頑張ってくれました。
だいぶ迷惑をおかけしましたが、”重箱の隅まで”一緒に悩み抜いて下さり、おかげで何でも言い合えるほどの強固な信頼関係が生まれました。

「職人施工とコダワリ施主の意地施工」

分離発注で家を建てるということは、言うなれば自分が工務店の社長です。(勿論、管理は設計士さんですが)

仕事の”透明性”が問われる事態ですが、透明もなにも、現場で各職人さんとの交流から仕事ぶりをじっくり見ることが出来ました。
モノづくりが好きで素人日曜大工の自分にしてみればベテランの職人さんの繊細な仕事ぶりはぐうの音も出ない完璧主義で。色々勉強させて頂きました。

施主が職人さんに迷惑をかけながらも自ら施工させてもらった箇所が少なからずあります。
”技は見て盗む”なんて言いますが、作業場所をゆずり、時には道具を貸してくれたり指導までしてくださった職人さん達に支えられ乗り切る事が出来ました。

初めは、少しでもコストを抑えようと始めた施主施工ですが、自分で手掛けた満足感、家族総出で作業にあたった事、はんば自分の意地で決めた壁塗りの施主施工を夜中まで頑張った事など、貴重な思い出でいっぱいです。

まだまだ続く「夢の桟橋」

バタバタと住み出して、ほぼ半年が過ぎました。
”全て理想どおり”・・・というよりは理想の全てを悩み抜いて形に落としたこの家の仕様は、※”私達”の狙い通りに機能しています。
(※設計士さん含むの意)

この夏は殆どエアコンも要らなかったし、風通しでこれ以上の家を知りません。
何より”家の壁の裏側まで掌握している”という心底までの安心感があります。

外構はまだまだこれからの家ですが、今、家のコンセプトの最後の仕上げを飾る為、”桟橋”を現在”施主施工中”(笑)です。
この桟橋とは、家とキャンピングトレーラーのアクセス、また、我が家を訪れて下さる方が歩く家へのアプローチです。まさに、私達の旅先への夢や未来、人の縁の架け橋のようなもの。

限られた時間の中で、時に上手く行かないこともありますが、着々と前進しています。
この家と共に、私達家族も成長していけたらなと思っています。

最後に関わって下さった、多くの方へこの場を借りて感謝申し上げます。