長持ちする家を建てるには?建築中の住宅から見る基礎工事のポイント

長期にわたり安全で快適に暮らせる住宅を造るためには、「耐震性」「劣化対策」「維持管理・更新容易性」など様々な措置を新築時に講じる必要があります。

今回は現在建築中の戸建て住宅の工事様子を通して、長く安心して暮らせる家づくりのために基礎工事で重視しているポイントを紹介します。

メンテナンス性を重視した基礎づくりとは?

構造躯体に比べて耐用年数が短い設備配管について日常の点検、補修などの維持管理(点検・清掃・補修・更新)を容易にするための対策を講じることが、より重要です。

基礎に設備配管を貫通させる方法としては、「従来配管方式」と「スリーブ方式」という方法があります。
「従来配管方式」は基礎に直接管を埋め込むため、コンクリートを壊さないと補修や点検は困難でした。これに対し「スリーブ方式」は、基礎の貫通部としてスリーブを通し、その中に配管を通す二重の方式ですので、構造躯体に影響を与えずに管の点検・清掃・補修が可能となります。

基礎貫通スリーブの設置状況(コンクリート打設前)

弊社では、住宅品質確保促進法や長期優良住宅法で求められる維持管理性に配慮し、「スリーブ方式」を採用し、住宅基礎部分のメンテナンス性を上げています

シロアリ対策について

前述の「スリーブ方式」の採用にあたり懸念となるのが、シロアリの問題です。
建物の天敵「シロアリ」は雑食性昆虫のため家のあらゆるものが食害されます。シロアリは地中から基礎のわずかな隙間から侵入し、その危害は土台、柱へと及びます。

シロアリの侵入を断つべく、スリーブ部分も防蟻テープと防蟻パッキンを使用した防蟻用スリーブを採用し、少しでも侵入の可能性を下げています。

また、コンクリートは環境の変化の影響を受けて膨張・縮小するため、ひび割れやわずかな隙間が発生し、蟻道を作られてしまうこともあります。
基礎コンクリートの表面は「表面を左官で仕上げる方法」と、「コンクリート素地のままとする方法」があり、左官仕上げは見た目はとてもきれいな仕上がりになりますが、蟻道を発見が遅れることがあります。素地のままにすることで、万が一(隙間からの)シロアリ侵入があった場合に発見しやすく、また補修や点検時にも有効と考えています。

コンクリートをきれいに打設するための業者さんの手間はかかりますが、きれいに仕上げて頂きました。

耐震性・耐久性を高める基礎構造

家の基礎というのは、その建物を支える土台の部分のことで、建物と地盤とのつなぐ役割があります。この基礎をしっかり作り上げることは、建物の耐震性能・耐久性能を高く・強くすることに繋がります。基礎のコンクリート強度は値が大きいほど高く、一般的な木造住宅基礎のコンクリート強度の値は18~21N/mm2前後となっています。

コンクリートの強度と耐久年数の関係性

計画共用期間 年数 耐久設計基準強度
短期約30年18N/㎟
標準約65年24N/㎟
長期約100年30N/㎟
超長期約200年36N/㎟
出典:建築工事標準仕様書・同解説 JASS5 鉄筋コンクリート工事

住環境研究所の住宅は3世代が住み続けられる家を目標としていますが、65年~100年の耐久性を持たせるため、設計基準強度124N/㎟を確保し、呼び強度230N/㎟を標準としています。

  1. 1.設計基準強度:構造計算で基準となるコンクリートの強度 ↩︎
  2. 2.呼び強度:設計基準強度に温度補正を加えて発注される強度。打設当日の外気温の条件により、設計基準強度よりも3または6N/㎟大きい値となる ↩︎

強度が高いコンクリートは粘性が高いため、打設時にはより迅速な締固めが必須となり、大変です。
今回の現場は真夏の暑い中での施工でしたが、長年お付き合いのある信頼のおける業者さん。キレイに仕上げてくれました。

出隅コーナー部の配筋の様子

そもそも基礎というのはコンクリートと鉄筋で構成されていますが、
基礎の鉄筋には主筋、腹筋など種類がいくつかあり、さらに径や形、本数、配置等で強度が変わります。
せん断補強筋フックとは、基礎立上り鉄筋のせん断補強筋の先端をフック形状に曲げたもので、鉄筋とコンクリートの付着をより多く確保し、許容せん断耐力が大きくなる効果があります。
また、大きな力のかかる出隅コーナーは、主筋とは別にコーナー配筋という+αの鉄筋を入れることで、より丈夫な基礎となります。
せん断補強筋フックは構造計算の結果によって省くことができ、また出隅コーナー配筋は構造計算には反映されないような配筋になりますが、弊社では両方とも標準的に入れるようにしています。

基礎内への漏水は住宅の劣化を早める

住宅基礎の漏水の原因一つに、「基礎コンクリートの打ち継ぎ部からの浸水」があります。打ち継ぎ部とは、1回目のコンクリート打設でつくられる底盤と、2回目のコンクリート打設でつくられる立上がりとの境界のことで、隙間ができる可能性がある部分です。

住宅の高気密化が進んだ現在、基礎内への漏水は、基礎内部のカビの発生や湿潤状態による木材の腐食、シロアリの発生など、住宅全体へ特に影響を与えるようになってきました。住宅の劣化を防ぐためにも、基礎内への漏水をできる限り防止することが必要と考えています。

弊社では外床面が打ち継ぎ部分より高くなる(=水が侵入しやすくなる)玄関廻り、犬走りや土間に面している通りに止水材を貼ることで床下土間への水の侵入を防いでいます。

コンクリート打設前の基礎立上り型枠内

住環境研究所では3世代に亘って暮らせる住宅を目指しています

今回のブログでは基礎工事に焦点を絞り、末永く住み続けられる住宅を造るために講じるべきポイントを、建設中の住宅の事例を交えて記載させていただきました。

住環境研究所では3世代に亘って安全かつ快適に暮らせる住宅を目指しています。
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